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前ページ次ページ使い魔は妖魔か或いは人間か 「これが契約の刻印なのかな?」 アセルスが左手の甲にできたルーンをルイズに見せるものの、彼女の耳に届いていなかった。 契約が無事結ばれた事をコルベールが告げ、見たことのないルーンということで簡単にメモを取る。 コルベールの写生が取り終わった頃、ルイズはようやく現実に帰ってきた。 「あ、あ、あんた一体何をするのよ!!」 現実に戻ると同時に赤面した顔でアセルスを睨みつける。 「キスしてきたのはそっちでしょう?」 「あれは契約の儀式よ!し、舌まで入れてきて……!!」 契約を終えた安堵感からか、ルイズの口調がいつもの調子に戻る。 ファーストキスだったのにとか、いや人間相手じゃないならノーカンよねなど一人でブツブツ呟いていた。 「まあまあミス・ヴァリエール。 契約も済んだ事ですし、教室に戻りますよ」 妖魔が呼び出された上に怪我人も出すハプニングはあったが、契約は無事結ばれた。 契約のルーンが結ばれた以上は、主人に危害を加える事はまずないだろう。 その事に安堵し、生徒に教室に戻るよう指示を出す。 普段なら悪口の一つでもかけるクラスメイト達も、妖魔に関わるまいと足早にフライで飛び立つ。 広場から立ち去る時にアセルスに振り返ったのは二人の少女。 一人は背が低く、無表情で氷のように透き通った青髪をショートヘアーにしている。 もう一人は燃え盛る炎のように赤い長髪をなびかせ、胸元を大きく開いた色香を振りまくような褐色肌。 それぞれ思うことがありながらも、彼女たちも空へ飛び立っていった。 ルイズは系統魔法はおろか、簡単なコモンであるフライも使うことができない。 なので学院へは歩いて戻る。 「どこへ向かうの?」 「トリステイン魔法学院よ、私達はそこで魔法を学んでいるの」 学院を知らないのかと思ったが、妖魔ならば仕方ないのだろうとルイズは納得する。 アセルスも魔法学院と言う言葉に聞き覚えはない。 代わりに思い当たったのはかつて旅を共にしたルージュ。 彼がマジックキングダムのリージョン出身だと思い出し、学院も似たものだろうと勝手に推測した。 辺りはまだ夕暮れだが、月が朧気に見える。 アセルスが月を見上げている事に気が付いたルイズが訪ねる。 「どうしたの?」 「ここは月が二つあるんだね」 ルイズにはその言葉の意味がわからない。 「月は二つあるものでしょう?」 「私の居たところだと一つしかなかったから」 考えてみれば妖魔だと言うこと、それとアセルスと言う名前。 彼女の事はそれしか知らない。 そこでルイズは学院に戻るまでの道中、様々な質問をしてみる事にした。 「月が一つしかないって、どんなところから来たのよ?」 「針の城。ファシナトゥールと呼ばれる場所にある」 針の城、ファシナトゥール。 どちらにもルイズは聞き覚えがない。 「そんな所、聞いたことないわ」 「針の城は妖魔の支配するリージョンだから、普通の人間は近づく事すらないもの」 アセルスからすれば当然の知識だが、ルイズには未知の単語だ。 「リージョン……?」 首を傾げるルイズに、この星にはリージョンという概念がないのだとアセルスも気付く。 「ここのリージョン……領域も、混沌に点在する一つに過ぎないと言ったら分かる?」 アセルスの言葉は抽象的過ぎるが、ルイズの覚えにある知識に結び付いた。 「宇宙に星があるのは知っているわ、その中の一つがこのハルケギニアって事も」 以前読んだ本の中に、天体に関する記述があった。 それと同時に、宇宙は混沌そのものだと言う説も思い出す。 「リージョンは星か何かなの?」 「大体合っていると思う」 未知の領域というものは、ハルケギニア大陸にも存在する。 東にはエルフのいる地区があるものの、人が近づくことはない。 妖魔の支配地域も似たようなものだと納得したが、城と聞いてルイズはふと疑問が浮かぶ。 「城にいたって事は宮廷に仕えていたの?」 妖魔が城を持つというのも初耳だったが、自らも公爵の三女という立場がある。 なので、彼女がどのような階級だったのか気になった。 「いいえ、城の支配者は私よ」 支配者、その意味をゆっくり反芻させてようやくルイズは青ざめる。 「じ、女王なの!?」 驚きのあまりルイズの声がひっくり返る。 「気にする必要はないよ」 アセルスにはジーナも白薔薇もいない今、針の城に戻る気は微塵もない。 「で、でも……」 「私が望んで君と契約しているんだ、文句は言わせない」 ルイズ自身は、あまりの衝撃にまともな思考ができない。 改めてアセルスの姿を良く見る。 ルイズは実家が公爵という立場上、王族との懇親会などに参加していた。 アンリエッタ王女と親友のように遊んでいたのはいい思い出だ。 話が逸れたので元に戻す。 故にルイズは目利きというほどでもないが、衣服や装飾品の材質程度なら見極める事はできた。 服はかなり上質な布地である上に装飾もきめ細かく、金や貴金属で彩られている。 平民どころか並大抵の貴族すら用意できる服ではない。 身に付けている装飾品も社交界で見た物に勝るとも劣らない。 妖魔が城を持つのは初耳だったが、堂に入る気品に満ちた態度は王族と言われても説得力はあった。 妖魔とはいえ、王族を呼び出してしまった。 自分が何らかの責任を負わされる可能性は非常に高い。 混乱した思考の中で思いついたのは、教師であるコルベールに話して対応を考えてもらう事。 ようやく見えてきた学院へ急いだ。 学院で早速コルベールを探すが見つからない。 教室に残っていた生徒に尋ねると、学院長の元へ向かったという。 気は進まないがアセルスが妖魔の君と名乗る支配者であることを隠せば、 後々面倒な事になるのは容易に理解できる。 ルイズは重い足取りでアセルスを連れて、学院長室に向かった。 ──その頃、学院長室には二人の人影があった。 「ふむ……それでミス・ヴァリエールは妖魔と契約したと?ミスタ・コーンビーフ」 白い髭を蓄えた老人。 彼こそが学院長であるオールド・オスマンである。 100歳とも300歳とも言われるその威厳あふれる眼光がコルベールを射抜く。 コルベールです。といつもなら名前の間違いでも指摘するところだろうが、 それを許されないほどの室内に緊張が張りつめる。 やはり契約を止めれなかったのは失敗だったか。 契約前に怪我人を出したのもまずい。 強大な妖魔が現れた時点で、指示を仰ぐべきだったかもしれない。 そんな考えが脳裏をよぎる。 「ま、いいんじゃないかの」 帰ってきたのは、張りつめていた緊張感が穴の開いた風船のように萎む気楽な一言だった。 「が、学院長!」 思わず抗議の声を上げるが、オールド・オスマンはそれを片手で制す。 「契約を結べなかったならともかく、亜人を使い魔にした前例はある。 契約前に暴れた使い魔によって、怪我人が出たということも良くある事じゃ」 オールド・オスマンの言う事がもっともなのはコルベールも理解している。 「それは仰る通りですが、力を持つ妖魔が何の抵抗もなく契約を受け入れたというのが……」 「腑に落ちないと言う訳じゃな?」 コルベールが無言で頷く。 「しかしのう……契約を結んだ以上我々にはせいぜい監視するくらいしかできんよ」 ため息をついて、髭を擦る。 「それでも構いません」 「後は……ミス・ヴァリエールと使い魔から話を聞いてみるしかないのう」 今後の対応について話していると、ドアがノックされる。 「失礼します、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです。 こちらにコルベール先生はいらっしゃるでしょうか?」 噂をすれば何とやら。 扉の前に現れたのはまさに今呼ぼうとしていた本人の声だった。 「うむ、入りたまえ」 オールド・オスマンに見えたのはドアを開けて一礼する桃色の髪をした少女と横に立つ緑髪の少女。 少女の姿をしているが、その姿にはどことなく威圧感を感じる。 「ミス・ヴァリエールと、貴女が呼び出されたという妖魔かね?ミス……」 「私はアセルス。 でもね、人に尋ねる前に自分で名乗るのが礼儀よ」 アセルスの物言いは不躾にも聞こえるが、ルイズは気にした様子はない。 気にする余裕がないと言うほうが正しいのだが。 「ほほっ、これは失礼を。 この学院を預からせてもらっておるオールド・オスマンと申す」 「あの、僭越ながら使い魔の件に関して、 話しておかなければならない事があるのですがよろしいでしょうか?」 ルイズがおずおずと手を挙げる。 「ふむ、何かね?」 ルイズは先ほど聞いたアセルスが妖魔の城主であることを説明する。 「妖魔の城とな……」 わずかに驚いた表情を浮かべるオールド・オスマン。 理由は妖魔の城のこともあるが、説明中にディテクト・マジックを密かに使ったためである。 魔力を探知する事で、オールド・オスマンはコルベールがなぜ警戒していたのかを察する。 (なるほど……炎蛇のカンが鈍っておった訳じゃなさそうじゃの) 外見では平静を装いながら、内心では冷や汗を流す。 「ミス・アセルス。 今こちらに理解できておるのは、お主が想像以上に力を持っているだろうと言う事じゃ」 学院長お墨付きとなる力を持った使い魔。 思わず歓喜の声を上げたくなるルイズだったが、同時に疑問が浮かぶ。 それほどまで強力な妖魔が、なぜ自分の使い魔となったのか? 「お主は力を持つ妖魔でありながら一切の抵抗なく、ミス・ヴァリエールの使い魔となったという。 そのことがこちらには不思議で仕方ない」 アセルスは自らの運命から人の警戒心や猜疑心などに人一倍敏感になっている。 彼らが警戒しているのは明白だ。 最もアセルス自身、ここで何か事を起こす気など微塵もない。 「使い魔の儀式はその人の求めるものが呼ばれると聞いたわ」 アセルスの言葉にオールド・オスマンは頷いて肯定する。 「彼女が私を求める声を聞いた、私はそれに答えただけ」 「つまり、彼女との契約は自ら望んだものだと言うことかね?」 アセルスは頷いて肯定する。 「うむ、ならばこちらも誠意でもって応対させてもらおう。ミス・ヴァリエール」 「はい」 畏まりながらも返事をする。 「聞いての通りじゃ。 彼女自ら使い魔となる事を望んでいる以上、問題あるまい」 その言葉を聴いて安堵する。 「だが、彼女は妖魔ながらも王族である。 お主も誇りある貴族として礼を逸することないようにするようにの」 「は、はい!分かりました。」 頭を下げて礼をするルイズの様子を見て、オールド・オスマンは満足そうに再び髭を擦る。 「うむ、それと彼女が王族であることは他言してはならん」 理由が分からないルイズはオールド・オスマンに尋ねる。 「無用な混乱を呼ぶから……ですか?」 「それもある、一番の問題は王宮のアカデミーじゃ。 彼らが城を持つ程の強大な妖魔がいると知れば、手段を問わず研究材料にしようとするじゃろ」 アカデミーという単語を聞いて、ルイズの表情が強張る。 オールド・オスマンの懸念が彼女にも理解できた。 アカデミーは国の研究機関だが、人道性を問わない研究方法からその評判は芳しくない。 まして城主の妖魔など前代未聞の話である。 アセルスから情報を聞き出すために、非道な手段も厭わないだろう。 ただ、そんな評判よりルイズには厳しい姉がアカデミーに勤めているという方が苦手意識が強い原因だが。 「ミス・アセルスも構わないかね? 妖魔であることは隠しようがないだろうが、あまり目立ってもらっても困るのじゃ」 「ええ」 アセルスにも研究施設に実験材料にされかけた過去がある。 その手の輩は彼女に取っても煩わしいものでしかない。 「うむ、ではもう下がってよいぞ」 退室した二人の少女を見届けたオスマンは水たばこを取り出し、一息つく。 「フゥ……ただ者ではないと思っていたが妖魔の君とはの」 「ただ城を率いる妖魔となると聞いたこともありません」 コルベールの言葉にオールド・オスマンも同意する。 エルフや翼人など優れた個体が同属を率いる例はあるものの、城ほど大人数を率いるということはない。 妖魔における一国一城の主ならば、どれほど強い力を秘めているかは容易に想像がついた。 「お主の報告では怪我人が出たとの事じゃが、先住魔法かの?」 「いや、それが口語もなかったので先住魔法かどうかも確証がありません」 つまり、彼女が妖魔だと言う事。 それも他の妖魔を率いるほどの強い力を持つ妖魔。 加えて先住魔法のようなものを使う。 「つまり、あの使い魔に関しては何もわからんのと同じじゃな」 何度目か分からないため息をつく。 「そういえば直接関係があるかわかりませんが、 彼女に刻まれたルーンはかなり珍しいものでした」 コルベールが懐からルーンを書き写したメモを取り出す。 「ふむ、確かに見たことのないルーンじゃ。 今は少しでも情報が欲しい。このルーンについて調べておいてくれ」 「はい、それと今後周辺で異変が起きた場合もただちに報告します」 「うむ」 コルベールが一礼して、学院室を立ち去る。 「まったく厄介な事になりそうじゃの……」 後はミス・ロングビルのスカートの中でも覗きながら考えよう。 気晴らしの方法を考えながら、オールド・オスマンは外を見る。 晴れていたはずの空には暗雲が立ち込めようとしていた。 「はぁ~~~疲れたぁ……」 部屋に戻ってきたルイズは着替えもせず、ベッドに倒れこんだ。 一時はどうなるかと思ったが、学院長に問題ないと言われた以上は大丈夫だろう。 張り詰めた緊張感からようやく開放される。 窓を見るとすでに夕日は沈んでいた。 気疲れもあり、このまま眠ってしまいたかった。 「もう寝るの?」 アセルスの声に顔を上げる。 「色々あって疲れたからもう眠りたいの……あ」 そこまで言って気がつく。 もともと使い魔の儀式は動物、幻獣を呼び出すのが通例である。 その為、ルイズが使い魔に用意していたものといえば床に敷かれた藁程度のみ。 「悪いけど、ベッドは一つしかないから一緒に寝る事になるわ」 妖魔と同じベッドで寝るというのは、正直望ましいものではない。 だが、彼女はサモン・サーヴァントで呼んだのである。 呼び出した使い魔を気味悪がるというのは、主人としても貴族としてもルイズの沽券に関わる事だった。 使い魔……その単語に先ほどと同じ疑問が脳裏をよぎる。 なぜ力を持つ妖魔でありながら、自分の使い魔となったのか? もっとも疲れていたルイズはアセルスに尋ねる間もなく、意識を手放した。 「まるで子供ね」 ベッドに潜って一瞬で眠りに落ちた様子を見て、アセルスが呟く。 その表情は優しげな雰囲気に溢れていた。 自分を呼び出した少女であるルイズを見つめる。 愛らしい少女ではあるが、自分と似通っているところは思い当たらない。 なのに彼女に感じた懐旧の念は一体何なのか。 その正体を知る機会が宵闇と共に訪れる…… 前ページ次ページ使い魔は妖魔か或いは人間か
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更新日:2012-06-21 タイトル: 百合の伝説/シモンとヴァリエ 原 題: Lilies 製 作 年: 1996 製 作 国: カナダ ジャンル: ドラマ/ロマンス レ ス: ☆おすすめ!やおい映画☆ http //www2.bbspink.com/801/kako/979/979530199.html 21 名前: 風と木の名無しさん 百合の伝説、も良いですよ。 186 名前: 風と木の名無しさん 「百合の伝説」っていう映画。フランス映画デス。 「百合」って聞くとレズを想像しがちだけど綺麗な美青年 2人がからむシーン(本番はナシ)があったり。 ていうか、監督さんがホモだって聞きました(笑) 一番のおすすめシーンは両腕をあげてしばって耳なめて るところ。耳攻め萌えvv 187 名前: 風と木の名無しさん 「百合の伝説」 実はストーリーは、どうでもよろしい。 おもしろいのは、女性も含めてすべて男性が演じ、 画面にはしばしば男と男のせっぷんが繰り返し、 おおっぴらに登場するところだ。 209 名前: 風と木の名無しさん 今日の深夜2時からBS2で「百合の伝説」放送 509 名前: 風と木の名無しさん ゆりの伝説・シモンとヴァリエ 見てーん ▲PAGETOP 今日: - 昨日: - 合計: -
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【元ネタ】フランス 偽史 【CLASS】キャスター 【マスター】 【真名】オリヴァリウス 【性別】男性 【身長・体重】172cm 56kg 【属性】秩序・中庸 【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運B 宝具B 【クラス別スキル】 陣地作成:B 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 “工房”の形成が可能。 道具作成:B 魔力を帯びた器具を作成できる。 【固有スキル】 魔術:A 占星術を収めている。 また、医師であった来歴から治癒魔術に関しても優れたものを持つ。 (当時ヨーロッパでは占星術師が医師を兼ねることは珍しくなかった) 千里眼:A 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。 透視、未来視さえも可能とする。 地獄耳:A+ ソナーの如く研ぎ澄まされた過剰なまでの聴覚。 集中することで聴覚のピントを“未来”へと合わせ、予知能力として活用できる。 【宝具】 『英雄よ、神慮に従え(プロフェシー・オブ・オリヴァリウス)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 英雄ナポレオンの生涯を予知したとされる十二折判の書物。 対象となるサーヴァントの未来を記述することで、その運命を操作できる。 運命操作の成功率は、対象となる英霊の霊格が高いほど上昇するが、 対象の人格ないし能力からいって“あり得ない”運命(自害するなど)を導くことはできない。 この宝具は一度使用すると、他のサーヴァントに対しては使用できなくなる。 【解説】 フィリップ=ノエル・オリヴァリウス。16世紀に存在したとされる占星術師にして医師。 未来を耳で聞き眼で見るといった人物であったというオリヴァリウスは 1542年にある英雄の生涯を一冊の予言書に記し、それはオルヴァルの修道院に蔵されたという。 この予言書はフランス革命後、略奪された本の一つとしてパリ市の助役メッスの目に留まり、多くの写しが作られた。 そして予言書は、その中で語られる英雄その人の手にも渡った。 英雄の名はナポレオン。当時、戴冠式を終えたばかりのフランス皇帝である。 絶頂期にあった当時のナポレオンは自らの栄達と没落を記した予言書の内容を鼻で笑ったが、 6年後にもう一度予言書を読みなおした時は笑わなかったという。 後世、バレートやトルネ・シャヴィニー神父はオリヴァリウスの予言書をノストラダムスに関連付けた。 しかし、実際のところノストラダムスの予言に用いられる語彙との共通点はなく、 また言葉使いも文体も19世紀のものであることから、19世紀の初めに作成された贋作であると考えられている。 ……つまり上記のナポレオンが手に入れた云々の逸話も創作である。型月時空ではどうだか知らないが。
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「…うぐぇあ…気持ち悪い……二日酔いか…?」 ポルナレフはソファから身を起こすと、よろよろと立ち上がった。 「お、ようやくお目覚めか相棒。」 「ん…ああ…あ?」 ポルナレフが首を傾げる。 「いつの間に亀の中に戻った?確かシエスタと酒を飲んでて…?」 デルフがカタカタ震え出した。 「どうした?」 「な、なななななんでもないぜ相棒。そ、そそれより早くしねーと娘っ子にまた亀取り上げられるぜ!」 「あ、ああ。」 ポルナレフはデルフを掴み取った。 「え、あ、相棒!?」 「昨日は迷惑かけたしな。それにまあなんだ。レイピアは持ち運びがな…」 相棒…!とデルフは涙した。目なんか無いけど。 (あ、あの犬ゥゥゥゥ!!) 私は亀の目の前でポルナレフが出て来るのをいまかいまかと待っていた。 (ダンス誘ってやったのに終わったらすぐに御主人様を無視してメイドと逢引ですってぇぇぇ) ちなみに昨晩の騒動の後、水のメイジによる治療を受けられず応急処置しか受けれなかった(今日の内に治癒魔法を受けに行くが。)ため、左腕骨折に加え、頭に包帯、身体のあらゆる箇所にガーゼが貼られている。いわゆる『名誉の負傷』って奴だ。 (何が「俺は帰らなければならない。だが、それまではお前の使い魔だぜ。」よ!思いっきり違う娘に着いていってんじゃない!) ポルナレフの自分に対する態度が全然気に喰わなかった。フーケの時も私を差し置いて他の二人と共に退却を提案した。 それでも見捨てず助けてくれたはいいが、御主人様である私と踊った後すぐに違う女、それもツェルプストーじゃないだけマシだが、メイド、すなわち平民と飲みだしたのである。 貴族である自分が誘われず何故あの平民が誘われなければならないのか(誘ってないbyポルナレフ)そのことが無性に腹が立った。 しかもその平民とキスをしようとしたのである。これには完全に頭に来た。別にあいつが好きという訳じゃないが、平民ごときに負けたのが悔しかったからだ。 気付いたらテーブルを二つ飛び越え、メイドの後頭部に目掛けて飛び膝蹴りを喰らわしていた。 ゴシカァン!という音と共にメイドがポルナレフと正面衝突した。メイドはゆっくりと立ち上がると、その怒り、羞恥、酒で真っ赤にした顔をこちらに向け、 「いいキックしてるぜッ!このアマッ!」 と挑発してきた。私も負けじと 「かかってきやがれッ!」と挑発仕返した。 その時私はワクワクしていた。メイドの最も強い部分が光り輝いて見えた気がした。 「いくぞ!」「私の方が!」「「最強という事を証明してくれるッ!」」 …今思い返せば最後だけ何かおかしかった気がする。 その後、私とメイドはバルコニーを破壊し尽くすまで闘った。終わった時には私もメイドも満身創痍だったし、私のドレスもメイドの服もボロボロだった。ただ、亀とポルナレフはギーシュがワルキューレを使って助け出していたため無事だった。私はギーシュに感謝した。 「よいしょ」ドゲシャ「ガミャッ!」 私は亀から出て来たポルナレフの頭を踏み付けた。ぐりぐりと。 「や、やめろ小娘ッ!」 「そんなことより御主人様に言うことがあるでしょ?ほら早くしないとどんどん強くなっていくわよ。」 「な、何の事だ!」 「あー、相棒。ひょっとしてあのメイドのことじゃね?」 「メイド…シエスタか?だがシエスタがどうした!?」 「全く、相棒はあれかい?女心が分かんないのかい?」 剣が呆れたように言った。ていうかようやく出番与えられたのね。と、そこに コンコン。 「すいません、入ってもよろしいでしょうか?ミス・ヴァリエール。」 あのメイドがやってきた。 とても歯痒い。何故ポルナレフさんは私の気持ちに気付いてくれないのだろうか? 彼がメイジであるギーシュ様をナイフ一本で倒した時、私は彼に惹かれた。メイジを倒した平民としてでなく、可能性としてでもなく、私のような何の力も持たず服従するしかない一介のメイドの為に命を省みず闘ってくれた『男性』としてだ。 彼は私よりずっと年上だろうから親や周りも反対するだろうが、それでも構わないと思っている。 それほどまでに憧れ、慕っているのに…彼は気付いてくれない。 だから常日頃一緒にいるミス・ヴァリエールが羨ましかった。御主人様と使い魔という関係でも私よりずっと長く彼と一緒にいられるのが羨ましかった。 そしてフリッグの舞踏会で二人が踊っているのを見て、ついに我慢出来なくなった。 私は同僚の子に無理を言って仕事から抜け出し、彼の元に行った。 そして… ここから記憶が無い。ただ起きたら部屋にいて頭痛がしたことからワインを飲んだに違いない。そうだとすると何かやらかしてしまったかもしれない。 そう思うとすぐにメイドの共同部屋を飛び出して謝りに行く事にした。 「ミス・ヴァリエール?いらっしゃいますか?」 「ちょっと待ってなさい。部屋を片付けるから。」 中から返事が返って来た。心なしか怒っているように聞こえる。やっぱり昨日何かやってしまってたんだ。 「あんたの愛する平民が来たわよ。犬。ああ、御主人様の部屋に呼んでまでイチャイチャしたいだなんて、どれだけ性欲あましてるんだか。」 ルイズは見下すように言った。いや、確かにシエスタはいい娘だが、別に愛しては…ってデルフよ、なぜ震えている? 「…何か貴様勘違いしているな?俺はシエスタと恋仲ではない。」 「嘘おっしゃい。だったら何で御主人様の見てる前で逢引したり、今もこうやって来てるじゃない。そんな犬にはお仕置きが…」 酷い言い掛かりだ。両方とも身に覚えが無い。あのギーシュじゃあるまいし、そのような事は絶対にしないはずだ。 「何も聞く気はないようだな…この小娘が…ッ」 「何とでも言いなさい。でも…そうねぇ『私が悪うございました。許してくださいまし、私の美しい美しい御主人様』とでも言ったら許してあげようかしら。」 「いい気になりおって…ッ」 「あー?聞こえないわよ?ほら早く言わないとこんな姿をメイドに見られるわよ?」 ぐりぐり更に踏み付けてきた。こうなったらやるしかない。 「…ゼロの癖に…」 腹に力を込める。 「この期に及んでまだ強がる気?阿呆ねぇ…まったく、おたく阿呆ねぇ…」 「生意気だぞッ!小娘がッ!」 俺は身体を海老のように反らせ、亀の中にあった足でルイズの身体を蹴り飛ばした。対メイジように身体を鍛えといて良かった。 「キャッ!」 ルイズの足が離れた隙に俺は走った。目的は窓。 「チャリオッツッ!」 窓をチャリオッツで切り裂き内側に倒す。外に誰かいたらやばいからな。 窓から飛び出すとデルフを抜いてチャリオッツの剣と共にそのまま壁に当てる。摩擦により落下速度を落とすためだ。 ガリガリと盛大に音を鳴らして地上に降り立つとすぐに走った。行き先は走りながら決めよう、と考えると何かにぶつかった。 「な、こんな所に壁が!?」 「壁じゃない!僕の使い魔のヴェルダンテだ!…ん?その声はポルナレフかい?」 この声…確かどっかで聞いたんだが、誰だっけ? 「えーと…プッチ?」 「違う!ギーシュ!ギーシュ・ド・グラモン!忘れたのかい!?昨日助けてやったというのに…」 「昨日…すまない、全然記憶に無い。昨日何があったんだ?」 「本当に覚えてないのかい?あれほどの惨事を?」 「ああ。シエスタと酒を飲んでる所までは覚えてるんだが…そこからが…」 ああ、とギーシュは天を仰いだ。あれを自分から言えというのか始祖ブリミルよ、とだけ言うと、ギーシュは丁寧に教えてくれた。 「…というわけだ。後は自分で何とかあの二人を抑えたまえ。」 それだけ言うと笑いながら去って行った。 「…デルフ、何故教えなかった?」 「だって恐かったから。」 「…」 「昨日はすいませんでした。ミス・ヴァリエール。」 メイドは入って来るなりいきなりそう言った。 「はあ?」 訳が分からなかったので話を聞いてみると昨日は酒に酔ってたらしく、そのために無礼な事をしてしまったと謝りに来たらしい。別にポルナレフに呼ばれたり、会いに来たという訳では無いみたいだ。 しかも本人いわく自分から一緒に飲もうと誘ったらしい。なんだ、全て私の勘違いじゃないか。また謝らなくちゃ…その前に探さないと! 「シエスタだっけ?頼みがあるの。一緒にポルナレフを探してちょうだい。」 「え?あ、はい!」 私とメイドは学院中を探しだした。 「相棒、何処向かってんだい?」 「厨房だ…あそこならルイズも分かるまい。」 「そんなに上手くいくかねえ?」 厨房までもう少しで着く所で見つかった。 「ミス・ヴァリエール!いました!」 いきなりの大声にギクリとし、後ろを振り向くとこちらを指差すシエスタと猛然とした勢いで突っ込んでくるルイズが見えた。 「ほら行かなかったw。」 「笑うな。」 パチンとデルフを鞘に収めると降伏するつもりで両手を挙げた。自分の直前でルイズが停止する。 「はぁ、はぁ、一体何処に行ったと思ったらこんな所にいたの…」 「ふん。今更何のようだ?何度もいうが俺は…」 「まったく、少しは弁明させなさいよ…」「?」 「あの娘から聞いたわ。あんたは本当に何も悪くなかったようね。」 おいおい今更か。 「だから…あーその…ごめんね?」 「え…ああ。」 正直、此処まで勘違いしやすい主人も考え物だ。簡単な話でも相手の主張を認めないから此処までこんがらがってしまう。だが素直に自らの過ちを認めた時の謝り方は、どこかかわいらしいものがある。娘みたいな感じの、がな。 そんな自分達をシエスタは嫉妬に駆られた目で睨みつけていて、デルフはその視線にまた震えていた。 ああ、明日からがまた不安だ。誰か俺の女難の相を取り除いてくれるスタンド使いの方、待ってます。 To Be Continued...
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「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」 土煙の中へと杖が振り下ろされると同時に爆発が起こった。 爆発で巻き上がる土煙の中から出てきた生徒の姿を確認して頭の天辺が禿げ上がった男は何度目かわからぬ安堵の息を吐き出した。 その風采が上がらない男が、薄い頭髪が更に抜け落ちる事になりそうなこの仕事を命じられたのは能力を認められて…でもあったが、何より彼自身の評判のせいだった。 教師を務める傍ら男は夢を追っていた。 夢を叶えるために長年研究を続け、その内に男は元々几帳面だった性格を更に正確さを求める性質に変えた。 だが、同僚の教師達からはその『客観的な事実を求める』性質は、『些細な事にもうるさい気の小さな男』としか捉えられなかった。 そこへ研究のために先祖代々の財産を全て売り払ったという事実が合わさって、男は変人扱いを受けていた。 売る物がなくなって平民のカツラ用に髪の毛まで売り払った変人なのだと陰口も叩かれるようになり、 教同僚はおろか生徒からすらも軽んじられるようになり、 面倒な仕事は彼に回す、というのが男が教鞭をとるトリスティン魔法学院のここ何年かで定着した慣習だった。 「コルベール先生、コントラクト・サーヴァントに成功しました」 そんな男の下に、たった今土煙の中から出てきた女生徒がやってくる。 長い髪を縦に巻いた少女は彼の前にやってくると、嬉しそうにカエルを掲げて契約の印である『使い魔のルーン』を見せた。 彼は、貴族の子女が通う長い歴史を誇る由緒正しい魔法学校で教鞭をとるジャン・コルベールは精神的な疲労を慌てて隠し、生徒に祝いの言葉を述べた。 女生徒は礼を言ってマントを翻すと、先に契約を終えてモグラに抱きついている金髪の男子生徒の下へと飛んでいった。 微笑ましさを感じて笑顔でそれを見送るコルベールの笑顔を新たに起きた爆発と巻き上がった土煙が吹き飛ばす。 眉根を寄せて、コルベールは先ほどから爆発を何度も起こしている桃色がかった髪の女生徒へと目を向けた。 制服であるマント。その下はある程度自由が許されているが、殆どの生徒がそうであるようにその女生徒も学院で指定された白いブラウスとグレーのプリーツスカートを着ている。 が、制服は何度か爆発に晒されてぼろ布になりつつあった。 貴族の子女がなんともはしたないとコルベールは胸中で嘆いた。 王都トリスタニアからは馬で二時間ほどの位置に作られたこのトリスティン学院では生徒が二年に上がると使い魔を召喚し、契約する儀式を行っている。 今日はその儀式を行う日であった。 通年この儀式は面倒ではあるが、手をかければ終わる仕事だった。 だが今年は、彼の太陽の光を受けて光輝く頭を悩ませる者がい…また爆発が起こった。 この広大なハルケギニア大陸では魔法が発達している。 魔法を使える者は貴族として敬われ、多くの人々は平民として暮らしている…のだが、極々稀に目の前で泣きそうな顔で召喚の魔法を唱える女生徒のような者が現れる。 由緒正しい貴族の中に、魔法が使えない者が生まれるのだ。 魔法が使えない貴族など貴族ではないという認識がある為、家名を汚すだけの無能者をこの学院に入れることも学院が入学を許すこともない。 だが彼女は運が良いと言うべきか悪かったと言うべきか、昨年この学院に入学を果たした。 彼女の実家、ヴァリエール公爵家はこの国でも最も古い家柄の一つに数えられる大貴族であり、順位は低いが王位継承権すら持っている。 娘可愛さで入学させたのか周りが勝手に配慮して許可を与えてしまったのか経緯は知らなかったが、コルベールは表情には出さずにため息をついた。 (これは、私もいよいよ首かも知れんな) メイジの実力を知るには使い魔を見ろ、と言う言葉がある。 一年で魔法を使えるよう教育を施すことが出来ず、使い魔を召喚させられなかったとなれば公爵家は黙っていないかもしれない。 皆が契約を終えるまで何度でも…回数をこなせば奇跡的にどうにかなるのではと、一番最初からやらせて見たが浅はかな考えだったようである。 諦めはじめたコルベールの視線の先で、彼女は十五回目になる召喚の呪文を唱えようとしていた。 今度は今までになく大きな爆発が起きたがもうコルベールは何の反応も見せなかった。 短時間に何度も何度も爆発を見せられてしまったせいで、もうすっかり慣れてしまったのだ。 最初は風を起こして土煙を吹き飛ばしたりしていたが、コルベールは杖を持ち振り上げた手を止めた。 後何度やることになるかわからないのに一々魔法を使っていてはコルベール自身の魔力を使い切ってしまうかもしれない。 それに、どうせもう少しすれば風に吹かれて消えてしまうだろうと、そう思ったのだ。 生徒の方もそんなコルベールの態度に不満を表す所か同情するような眼差しを向けた。 もしいればの話だが、自分の子供でもおかしくないような年齢の生徒達に向けられる眼差しにコルベールは気恥ずかしげに咳払いを一つして、意図的に後に回していた生徒を呼んだ。 「では次は…ミス・タバサ」 生徒の輪から離れ、本を読んでいた小柄な少女が自分の背よりも長い杖を立ち上がった。 『タバサ』という名は、ハルケギニアでは人名として奇妙な部類に入る。 事実偽名であり、隣国ガリアからの留学生である彼女の詳しい素性はコルベールも知らされていない。 だが、15歳になるはずだが4つも5つも下に見える小柄な少女の髪と目は青…コルベールの記憶が確かなら、青い髪と目はガリア王族の証だ。 6千年もの歴史を持つ国家であるが故にガリアでは稀にこの髪色を持った子供が生まれるとも聞いていたし、もう一つの特徴である涼やかな美貌は眼鏡に隠れて確認できないのでこれだけで王族という事は出来ない。 だが、それらとタバサが入学してから一年の間にコルベールが気付いた幾つかの行動は、コルベールが警戒するのには十分な材料であることに間違いなかった。 その為コルベールは何かあれば国際問題になりかねないと、ミス・ヴァリエールと重ならないように後の方に回していたのだが、その甲斐なくタバサは無言で煙の向こう側へと消えていった。 「我が名は………、五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」 二人の声が重なった。 祈りを込めて晴れていく土煙を見つめるコルベール…今度は、爆発は起きない。 「おおっ!」 思わずコルベールは喝采を挙げた。 ついにサモン・サーヴァントに成功したのでは!?とコルベールは今度は喜びで笑みを浮かべた。 晴れていく煙の中から、全長は6メイルはありそうな美しい青色の鱗を持ったドラゴンの姿が見える。 恐らくはミス・タバサの使い魔となるべく召喚されたものだろう。翼や頭部の形から、コルベールは高い機動力を持つ風竜だとわかった。 竜は、使い魔召喚の儀式の記憶を辿っても最上級の生物の一つである。 コルベールはそれを引き当てたミス・タバサのメイジとしての才覚に感嘆しながら、きょろきょろと目を左右にやり同時に呼び出されたはずのもう一匹を探す。 未だ立ち上る土煙に隠れてミス・ヴァリエールが召喚した生物は見えない…まぁ、なにを呼んだにしろ成功しただけで素晴らしいとコルベールは安堵した。 そう考える間に、恐らくはコントラクト・サーヴァントの魔法が成功したのだろう。風竜が頭を垂れる。 サモン・サーヴァントで呼び出した使い魔にキスをすることで契約を行うこの呪文が成功すると、召喚された生き物の体に使い魔のルーンが刻まれ特別な能力が与えられる。 サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァント。 二つを終えて使い魔召喚の儀式は完了となるのだが…はて、とコルベールは首を捻った。 トリスティンでは、契約のキスは使い魔となる生き物の唇にするものだがミス・タバサは今行っただろうか? 他の場所に行って契約が完了した例はコルベールは知らないが隣国ガリアではそんな方法があるのだろうか? このトリスティンと同じく、始祖ブリミルの子孫を王として戴く大国だが… 土煙を抜けて―嫌な予感に禿げ上がった頭皮を無意識に引っかくコルベールの前へとミス・タバサが歩いてくる。 だが、その後ろを風竜はついて来ていなかった。 代わりに…タバサの魔法で宙に浮かべられた少年の姿が見えた。 意識はないらしく、その瞼は閉じられている。 タバサとほぼ同じ位の背丈の子供の体手には使い魔のルーンが刻まれていた。 既に契約を終えていた生徒達の間にどよめきがあがる。 タバサの属性は風だ。しかも、優秀なメイジでもある。 だからこそ風竜が現れた時即座にコルベールはタバサが召喚したのだろうなと考えたのだ。 使い魔のルーンが刻まれた少年は、殆ど全裸に近い状態でコルベール達の目にはどう見ても人間にしか見えなかった。 風の属性になど全く関係ないだろう。 (まさか『取り違え』が起こったのかッ!?) 青ざめたコルベールは、タバサの元へと駆け出した。 『取り違え』は前記した『メイジの実力を知るには使い魔を見ろ』という言葉があるせいで生まれた忌むべき行為だ。 やり方はこうだ。 まず同じ属性の貴族を集めて纏めて『サモン・サーヴァント』を使わせ、使い魔となる生物を呼び出させる。 次に力が…序列が上の貴族から使い魔との契約を行う。 これによって上位にある貴族が優秀な使い魔を手に入れ、下の者はどれだけ優秀であろうと余りものの使い魔を選ばせるのだ。 実生活で強力な魔法を使う機会など早々無いため、うまくやれば優秀な使い魔を得た貴族は実力以上の評価を得る事が出来る。 神聖な行為として、魔法学院など誰の目にも明らかな公正な場で行われるようにしてからはおおっぴらに行われる事はなくなったが、古くは王族の中にも家臣に呼び出させた使い魔と契約をした疑いのある者がいるという。 それが今、起きてしまったのか!? もし…もし、ルイズが風竜と契約をしていたら大問題となる。 ヴァリエール公爵家の末娘が、隣国でありこのトリスティン王国の何倍もの国力を持つ大国ガリア貴族から使い魔を掠め取ったなどとガリアが知れば… あるいは、ヴァリエール公爵家の末娘の使い魔をガリア貴族が奪ったと知れれば… 青褪めたコルベールはタバサから話を聞くために声をかけようとする。 だがその感情の窺えない碧眼の中……吹きすさぶ冷たい雪風に気付き、息を呑んだ。 少女は浮遊の魔法で宙に浮かせた少年をコルベールに差し出した。 少年の手に刻まれているルーンが目に入る。 使い魔と主人たるメイジは一心同体。 使い魔として呼び出された生物を元の場所に返す魔法はコルベールの知る限りでは存在しない。 メイジもどんな生き物を呼び出したとしても、新しい使い魔を呼び出すことは出来ない。 再び別の生き物を呼び出すには、使い魔が死ぬしかないのだ。 今ならまだ、まだ! この少年を殺して再召喚させれば…! コルベールの頭が危険な考えに染まろうとするのを制するように、タバサは抑揚の無い声で言った。 「この子が私の使い魔。ヴァリエールはまだ契約を行っていない」 震える手で杖を持ち上げようとしたコルベールの手が、力を失い下へと落ちる。 使い魔だと言うタバサの顔を見れば、(たとえ少女が表情を殆ど表に出さないとしても)彼女がこの契約をなかったことにするつもりなど更々ないことくらいはコルベールにもわかった。 コルベールは、少なくとも彼に与えられた権限においては、連れてきた少年を使い魔と認めるほかなかった。 こうなっては残された風竜とミス・ヴァリエールも契約させるしかないのか? コルベールの頭から残り少ない頭髪が、何本か風に吹かれて消えていった。 無二の親友、タバサと同じくトリスティン王国の隣国ゲルマニアからの留学生、キュルケが空を飛んでくるのが見えた。 タバサは呼びかけてくるキュルケに背を向けて、自分の部屋へと逃げるように戻っていった。 無口で幼児体型の自分とは正反対の体型、性格の彼女がこの判断にどんな反応を示すかわからなかったが、まだタバサ自身心の整理が付いていなかった。 タバサの本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。 ガリア王国の王族で、謀殺された王弟オルレアン公の娘だった。 父シャルルを殺した現王ジョゼフ一世によって母親もまた毒で心を狂わされた。 「タバサ」と言う名は、母がまだ心を狂わされる前にシャルロットにくれた人形の名前。 心を狂わされた母が人形を『シャルロット』と思い込んでしまい、タバサは自分の名を『タバサ』と名乗り… 優しかった父を殺し、母を毒で狂わせた叔父を殺す為に、叔父の命令に従いながら魔法の腕を磨いてきた。 だが…タバサはある日気付いてしまった。 このまま魔法の腕を磨いても父の仇を討つことは叶わないことに。 大国ガリアの王である叔父を討つなど容易になし得ることではない。 それが分からぬほどタバサは愚かではなかった。むしろそれを承知で、牙を研ぎ続けてきた。 その為真正面から戦うことを避け、相手の隙に乗じて一瞬で勝負を決める暗殺者のような戦い方をタバサは得意としているし、自らの手で達成することを決めていた為に人の手を借りたりはしなかった。 人を募ろうと思えば、恐らくかなりの戦力を集めることは出来るだろう。 例えば無能王とあだ名される叔父を排除し、自分を王位に付かせようとする『シャルル派』がいる。 だがタバサは彼らの協力の申し出を断っていた。いや応えようとしていなかった。 ただ復讐の念に凝り固まった自分に王位を継ぐ資格はないし、能力的にも、王たる資質は自分にはない。 自分の手でという気持ちがあり、最悪で命を賭してでも叔父を暗殺出来ればそれでよいとさえ考えている自分にはと考えていたが。 何より、彼らを復讐に巻き込み捨て駒とすることなどタバサにはできなかった。 目的の為に彼らを利用しきれる程冷酷にはなれなかったし、見た目と同様に幼い自分に心を閉ざした少女には彼らの気持ちや彼らに対する責任を背負う強さがなかった。 そんなタバサの考えが甘いことを突きつけられたのは、実家に残された父の遺品の中から数冊の本を発見した時だった。 父の輝かしい記録に混じって、叔父の記録が記されていた。敵を知る為にとタバサはその記録に軽い気持ちで目を通した。 無能と呼ばれ偏見を持ってしか語られない叔父の優秀さをタバサはその時初めて知った。 父シャルルと打ち合ったチェスの記録は全て名勝負であった。 タバサが思いも寄らぬ手を二人は打ち合っていた。 議事録や、父が書き残した日記に残る叔父の言動は才覚に溢れていた。 一見無謀に思えることや突拍子もない発言も後の出来事を踏まえて考えれば、合理的で学問においても(幼年期の記録しか見つけることができなかったが)目を見張るほどの理解力を示していた。 そうした記録から作り出される叔父の姿は、魔法に関して無能であることなど何の好材料にもならないほどの天才の姿だった。 更に、その天才は使い魔として東方の女性を召喚したということが書き記されていた。 これにガリア王としての権力をつけた男を暗殺することなど、それこそ伝説の始祖でなければできないのではないか? メイジ一人では、例えそれが父シャルルや、トリスティンのメイジの中でも歴代最強と言われるメイジ『カリン』であろうとも…返り討ちにあってしまうだろう。 だがタバサはそれでも父の愛した祖国や祖国の人々を利用して復讐を成し遂げる覚悟は出来なかった。 かといって、復讐の炎は消えるどころかタバサの中でますます燃え盛っていた。 どうすれば復讐を遂げることができるのか? 一心同体たる使い魔の召喚は、思い悩むタバサを落胆させるものだった。 タバサが召喚したのは風竜…使い魔としては最上に近い生物だった。 この時契約を行っていれば、後に更に希少な風韻竜であることもわかるのだが、どちらにせよタバサには物足りない生き物に過ぎなかった。 彼女が求めているのは、彼女の想像の上を行く存在。 容易く自分を掌の上で弄ぶことが出来る叔父ジョゼフの鬼謀の上を行く為の手段だった。 落胆していたタバサは、土煙の中その手段を見つけてしまったのだ。 自室に逃げ込み、詰問しようとする親友を拒絶するタバサの瞳は陰り、燃える水のように黒く光るそれにはベッドに下ろされた勇者ダイだけが映っていた。 親友が自分の名を呼ぶ声を無視するタバサの耳には、ドクンッ、とあの瞬間から鳴り続けている心臓の音だけが聞こえていた。 ドクンッ。 そう、彼を一目見た瞬間に。これから犯す罪の重さに体が悲鳴を挙げるかのように心臓が大きく鳴りだしたのだ。 他人の使い魔として召喚された者を横取りするなど許される行為ではない。 その上自分の想像通りの人物ならこの少年は復讐に手を貸すような存在ではなく、故郷に帰りたがるだろう。 だが、それらを考慮して尚…目の前に現れた少年は喉から手が出るほど欲しかった。 ドクンッ。 本能的に何か察知したのか風竜が思わず頭を垂れた――それを見て自分の想像は間違っていないのだという実感が湧き上がり、タバサの背中を後押しした。 その時考えていたのは『もうルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとコントラクト・サーヴァントは行ったの?』だった。 (いいえ、まだだった。だから私が) ドクンッ。一見人間の少年にしか見えない生物は、胸の内で復讐に燃えるタバサには途方もなく魅力的だった。 タバサは自分が召喚した竜、使い魔を奪われ風竜と契約しているであろうルイズや、使い魔にするこの少年。 父祖や学院の関係者や…思いつく限りの相手に心の中で謝罪し、罪の重さを感じながら…唇を、少年のそれに重ねた。 ズキュゥゥンッ。 全裸に近い少年の体に刻まれたルーンを見つめながらタバサは無意識に唇に触れ、まだ喜ぶのは早いと唇を噛み締める。 まだ確証もないのだ。 だがもし、自分の直感が正しかったなら使い魔としたこの少年を利用する。 タバサの父が所蔵していた異世界の書物『ダイの大冒険』に記されていた勇者。大魔王バーンを倒した化け物を。 確かめたなら、後は――少年の純粋さを犠牲にしたとしても、何年かけてでも、洗脳を施し叔父ジョゼフを殺せばいい。 父に読み聞かせてもらった通りの、自分でも読み返したあの通りの強さなら…例えガリアの全軍を相手にしても目的は果たせるだろう。 微かに暗い笑みを浮かべる少女に見つめられながら勇者はまだ穏やかな表情のまま眠りについていた。
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『ぴんぽんぱんぽーん(口で言った) はいはい、ただいま開始から一時間経過だけど、ここまでの死者を発表するわよ。 タケシ、タケシ、タケシ、KuKio、ヨッミー、古泉ネームレス、波野ノリスケ、カービィ、桂木弥子、 692、ブリリアント・ダイナマイト・ネオン、king of 脳内補完、ラッド、マルク、ピエモンB、 才賀エレオノール、温泉少女、プール学園、エーリヒ・フォン・レヴィンスキー・ゲナント・フォン・マンシュタイン、 R・ドロシー・ウェインライト、アントニーナ・アントーノヴナ・ニキーチナ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、 インテグラル・ファルブルケ・ヴィンゲーツ・ヘルシング、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、 ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、 鈴仙・優曇華院・イナバ、惣流・アスカ・ラングレー、スフィー・リム・アトワリア・クリエール、ダナティア・アリール・アンクルージュ、 バカ=キ=エル・ドグラ王子、パタリロ=ド=マリネール8世 、レオナルド・メディチ・ブンドル、レオン・D・S・ゲーステ、 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ロバート・E・O・スピードワゴン、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ、 寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る処に住む処やぶら小路の藪柑子パイポパイポ パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポぐがっ!!』 【柊かがみ@カオスロワ 舌噛んで死亡】 先生「やはり名前など無いほうがいいな」
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前ページゼロの調律者 ゼロの調律者 第一話 ~リィンバウム王都ゼラムに向かう街道~ 「おにいちゃん、もうすぐだね。」 「ああ、派閥本部に帰るのも久しぶりだな。……予定より随分遅れてるし、ネスティに怒鳴られそうだ。」 青の派閥の召喚師マグナは、ワイスタァンにて新人鍛冶師の護衛獣を召喚すると言う任務を終えて、護衛獣で婚約者のハサハと一緒に派閥本部に帰る途中であった。 彼を気に入ったと言う理由で金剛の鍛聖リンドウ氏に散々いぢり倒された。 更に剣を打ち直してやるから地下迷宮行って材料揃えてこい、カレー食べたいからちょっと作って来い、 その護衛獣の子の尻尾見るからにさわり心地良さそうじゃな、触っていい?ダメ?そう言わずに君とワシの仲じゃろう?等の理由で帰還に大幅に遅れてはいるが。 (大分前にデグレアに攻め込まれた時点で既にいい年の老人だったらしいけど、実際今何歳なんだろう・・・?) 思い出すたびに浮かぶ疑問を適当な所で振り払い、ハサハの手を握り直して帰路を急ぐ事にした。 ~リィンバウム 蒼の派閥本部~ そんな事を考えている内にゼラムに到着。蒼の派閥本部に戻り報告を済ませて自室に戻る。 「案の定怒ったな、ネスティ。」 「うん・・・、でも・・・、すごく心配してたよ?」 ハサハの言うとおりだろう。あの兄弟子はやたら心配性だ。 何かある度に「君はバカか!?」と怒鳴りつけてくる。 「だろうな。長旅で疲れたし、昼寝でもするか?」 日はまだ高いが、春先特有の睡魔と長旅の疲れもある。 「・・・(こくん)」 何よりハサハと一緒にお昼寝すると言うのが心地良い。 軽く伸びをし、昼寝の為に装備一式を外そうと思ったその時、 「なんだこれ?」 突然目の前に鏡が現れた。 とりあえず召喚特有の光は無かったし召喚術による物ではないと判断。 鏡に部屋のど真ん中に居座られても邪魔なのでとりあえず動かそうと鏡を掴む。 「うわ!?」 掴もうとしたら鏡にすごい力で引き込まれ始めた。咄嗟にさっき床に下ろしたばかりの荷物を掴む。 「おにいちゃん!」 ハサハがマグナの身体に抱きつき必死に引っ張るが、魔力は異常なまでに高いけど腕力はからっきしなハサハでは支えになる訳も無い。 マグナに抱きついたまま一緒に鏡に引きずり込まれてしまった。 ~ハルケギニア トリスティン魔法学院~ 春の陽気に照らされた広場に轟音が響く。 二年生に進級する為の春の使い魔召喚試験、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが召喚を行った結果起きた大爆発だ。 「ちょwwww一発目から大爆発とかwwwww使い魔ミンチになったんじゃねwwwww?」 「マルコリヌ・・・それは流石に不謹慎と言うか、そういうグロい考えは言わない方がいいんじゃないかな?」 ルイズの後で何か言ってる連中がいるが今はスルーしておこう、巻き上がる煙の中に薄っすらとだが影が見える。 (やった!一発で召喚成功!何?グリフォン?ドラゴン?マンティコア!?) 召喚前から色々高望みしてたせいか、一発で成功した事でさらに期待で胸を膨らませるルイズ。 影自体はあまり大きくなかった。 (実は妖精とか?もうこの際珍しくてすごいのだったらなんでもいいわ!) 「いててて・・・って、ここ何処だ?ハサハ、大丈夫か?」 「・・・(こくん)」 煙が晴れるとそこには見慣れない服を着た青年と、やはり見慣れない服を着て頭から狐の耳を生やした少女が現れた。 青年は紺色の髪で背丈もそこそこあり、白と紺を基調とした服、何処か人懐っこさのある顔立ちをしていた。 少女の方は黒髪ですごく小柄、体格としてはタバサとルイズの間ぐらいだろうか?狐の耳と尻尾が生えており、透き通る様な白い肌、何か神秘的な美しさを感じさせる美少女だ。 (人・・・間・・・?と亜人・・・かな?一回の召喚で2種類も召喚なんて・・・いやそれ以前に人を召喚したなんて、前代未聞じゃない!?) 期待が大き過ぎた分ショックも大きかった。 「人間だ! ゼロのルイズが人間を召喚したぞ!しかも二人も!」 「アラ、結構いい男ね。」 「ウハwwwwwテラょぅι゛ょwwwwwwwみwなwぎwっwてwきwたwwwwwwwwww」 「マルコリヌ・・・今日の君はなんか変だぞ?それに、そう言う趣味だったのかい?」 ルイズは焦っていた。 後でキュルケと丸いのとギー・・・名前忘れたけどなんかヤムチャ臭いのが喚いてるが再びスルーしておこう。 今問題なのは人間を召喚してしまった事だ。しかも二人。 どうすればいいのか判断がつかず頭を抱えてると青年の方が話しかけてきた。 「えーっと、ここは何処なのかな?なんか召喚されたみたいだけど、リィンバウムじゃないみたいだし・・・」 聞きなれない単語もあった気がするがどうやら状況説明を求めているらしい。 そうだ相手はどうせ平民か何かだろう、貴族として貴族らしく振舞いまずは主従関係をハッキリさせよう。 「そうよ!私が貴方を召喚したの!本来貴族がへい・・・み・・・・・・」 言っている途中で青年は手に持ってる大きめのバッグに目がいった。バッグ自体は何の変哲も無いが、その側面に引っ掛けてある棒状の物体。 丈夫そうな木製の柄、先端には金属の装飾がついており小さいながら輝石もはめ込んである。 どう見ても高級そうな杖です本当にありがとうございました。 ルイズの顔色が段々血の気が引いていく。 普段マグナは剣を主体に戦うが、最近は剣で対処できない遠距離の相手を想定し、召喚術の威力増強用に杖も用意している。 もちろんルイズは召喚術について知る訳も無く、上等な服に杖=貴族と言うハルケギニアらしい判断をしてしまっていた。 貴族を召喚してしまった→学園最大最悪のスキャンダルの悪寒→下手すれば国際問題→自分のせいで戦争勃発\(^o^)/オワタ ルイズの脳内では既に最悪の図式が展開され始めている。 さっき危うく平民と言う単語と呼びそうになったが、なんとか言わないで済んだのがせめてもの僥倖だろう。 しかしここで頭髪が寂しい教師、コルベールも杖に気がついてかルイズと青年達にしばらくここに残るようにと声をかけ、他の生徒を教室に戻るよう指示を出す。 この時ルイズの目にはコルベールから後光(主に頭頂部から)が射している様に見えた。 「改めまして、私は当トリステイン魔法学院で教鞭を執っている"炎蛇"のコルベールと申します。ミス・ヴァリエール、貴女も挨拶を。」 「は、はい。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。」 コルベールに場を作ってもい、なんとかまともに挨拶をする。顔色は蒼白だが。 「俺はマグナ、マグナ・クレスメント。蒼の派閥の召喚師です。こちらは護衛獣のハサハ、シルターン出身です。」 「・・・(ぺこ)」 マグナの紹介にあわせてハサハも礼をする。 (ああ、貴族だ、やっぱり貴族だ・・・) マグナが家名まで名乗った事でルイズは本気で頭を抱えたくなった。既にコントラクト・サーヴァントの事は脳裏にすら残ってない。 「それで、俺は召喚されたんですよね?サモナイト石を使った召喚じゃないみたいだし、リィンバウムやシルターンじゃないとは思うんですが・・・」 ここでマグナの反応にコルベールは頭を捻る。リィンバウム?シルターン? ルイズはマグナの家名を聞いたショックで呆然としたままだ。 「あー、失礼ですが、少し場所を変えてお話しましょう。よろしいでしょうか?」 ~ハルケギニア トリスティン魔法学院 学院長室~ 「ふむ、それでは一旦コントラクト・サーヴァントしてしばらく使い魔として働いて、帰る目途が立ったら契約破棄。再召喚と言う方向でいいじゃないかの。」 学院長のオールド・オスマンが出した結論に一同は同意と言う形になった。 時間を少し巻き戻る。 オールド・オスマンは何時もののように秘書のロングビルにセクハラの報復としてメキシカンバックブリーカーを受けているとコルベールが学院長室にやってきた。 心なし声が切羽詰っている感じがしたので何事かと思いきや、ある生徒が使い魔を召喚したら貴族だったとの事。 一緒に入ってきた件の生徒と貴族と、お互いの立場や状況を話し合った。 なんでも召喚されたマグナと言う青年は異世界から来た人で、彼らの世界では魔法より召喚術と言う技術が発展しているらしい。 そして彼はそこでは超下級貴族のような立場ではあるが、かなり有力な組織に属しているとの事。 もちろん最初は異世界だなんて突拍子も無いと一蹴しかけたが、マグナがムジナと呼ばれるタヌキの様な生物を召喚・送還して見せたので納得せざるを得なかった。 マグナはマグナでハルケギニア式の召喚術はサモナイト石を使わない事、また送還術が存在しない事に唖然とした様子ではあった。 ただ一方的な召喚に対しては驚きはしたがマグナ本人があまり抗議してこなかった。 それに対しコルベールが疑問を口にしたが、 「リィンバウムは召喚術が基本だったから召喚事故も起きますからね。それが自分の起きたと思えば仕方が無い事だと思うんです。」との事。 ルイズもマグナが異世界から来たと言うのにとりあえず納得。 ただマグナが異世界出身の上に貴族としては下の下、国際問題にはならないとわかったせいか心無し緊張感もとけた模様。 そして話し合いの結果、ここでのマグナ達は東の果ての没落貴族が召喚され、しばらくルイズの使い魔をやっている立場であると偽装しておくこと。 学園側としては全力を持って送還する術を模索する事に決まった。 ルイズの個人的な願望としては、亜人と言う理由でハサハと契約したかったが、一応ハサハもマグナの使い魔の様な立場だと言う事で諦めた。 一応メイジ?みたいなものだしマグナがそれなりに実力があればルイズの実力の証明にもなるだろう。 「ではコントラクト・サーヴァントをしてもらおうかの。ミス・ヴァリエール、ミスタ・クレスメント。」 オールド・オスマンが髭を撫でながら契約を促す。 「は、はい!ミスタ・クレスメント、少し屈んでく、くだ、くださる?」 「あ、ああ・・・(そう言えばこの世界の召喚術ってよく知らないけど契約ってどうするんだろう?サモナイト石も無いみたいだけど)」 何故か赤面しているルイズを見てマグナがふとそんな疑問を考えているうちに、ルイズは詠唱をし、なんと顔を近づけてきた! (こ、これはひょっとしてキスが契約なのか!?) マグナが飛び退き、ハサハがキスをしようとしてたルイズを止める、見事な連携を見せた。 「ちょ、ちょっと何するのよ!?契約とは言え・・・私のファーストキスがそんなに不服なわけ!?」 もちろんこれにはルイズも怒り出す。数年前のマグナだったらろくな言い訳もできなかっただろう。 だが今のマグナは昔の恋愛レベルKYロリコン!なマグナではない!数年間ハサハとイチャイチャし、苦楽を共にした立派な男だ! 「契約って今のが?でもほら、俺にはハサハって婚約者もいるし」 「おにいちゃんのおよめさんは・・・ハサハなの・・・!」 二人の返答にルイズも渋々納得する。そりゃ好きな相手以外とキスするのはいやだろう。 だがすぐに別の疑問が脳裏によぎる。 (この亜人の子がお嫁さん?でもって婚約者?え・・・ロリコン!?) 目の前の亜人の少女は服のせいでわかりにくいが、多分タバサ以上ルイズ以下程度の体型だろう。 ルイズは自分の体型や婚約者の事は棚上げして、目の前の男がロリコンの異常性癖者という認識を持った瞬間だった。 「あー、ミスタ・コルベール?コントラクト・サーヴァントには口にキスが必要なのか?せめて手とかには・・・」 そんなルイズの認識の変化も気づかずマグナは契約方法について聞いてくる。 何かと説明好きなキャラが定着しつつあるコルベールも、彼をロリコンでは・・・?と思っていたのだろう「え?あ?ロリk・・・じゃなくて、今なんて言いました?」と聞きなおすレベルだ。 「やれやれ、コルベールもまだまだじゃの・・・。基本は口じゃが・・・まぁ手でも頬でも構わんじゃろ。」 代わりにオールド・オスマンが答えた。 ルイズとしても目上でもない相手の手にキスすると言うのも不愉快だが、これならファーストキスとしてはカウントされないだろうと言う乙女らしい打算を持って了承した。 マグナと婚約していると言うハサハも、手だけならまだ許せると渋々ながら了承。 マグナ・クレスメントがルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔になりました。 ~幕間 ルイズの部屋~ 「うう、契約ってすごく痛いんだな・・・」 「おにいちゃん・・・大丈夫?いたいのいたいの~とんでけ~・・・」 「ハサハ、ありがとう。」 「おにいちゃんがいたいの・・・ハサハはいやだよ?」 「ああ、俺もハサハが辛いのは嫌だな。・・・ハサハは優しいな。」 「おにいちゃんも・・・やさしいよ?やさしくて、あったかい・・・」 ハサハはマグナに抱きつき、マグナもそれを優しく包み込む。 「はぁ・・・あんた達、主人と使い魔とは言え仮にも他人の部屋なんだから・・・イチャつくのも程々にしてよ・・・」 部屋の主、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは召喚初日から使い魔カップルのイチャつきぶりにお腹一杯でした。 前ページゼロの調律者
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346 名前: 足 [sage] 投稿日: 2007/09/23(日) 03 03 43 ID IZ5rpxWG (そう言えば、ノートパソコンってどうしたんだったっけな) ふとそんなことを思いついて、才人はルイズの部屋の中を探し回った。今や懐かしき代物である ノートパソコンは、ルイズのベッドの下で埃を被っていた。 引っ張り出して起動スイッチを押すと、ノートパソコンは何の問題もなく起動した。バッテリーも いくらか残量がある。 (どれ、ちょっと思い出に浸るとしようかな) 才人は床に座ってノートパソコンを弄り始めた。大したアプリケーションは入っていないし、イン ターネットに繋ぐこともできないから、やれることは少ない。 (どうせなら、デジカメとか写メで撮った写真とかでも入れておくべきだったなあ) 少々後悔したとき、才人はふと、デスクトップに見慣れないフォルダが置いてあるのに気がついた。 (hizou……? ひぞう、ヒゾウ……秘蔵、か。何だっけかな、これ) 首を傾げながらフォルダを展開してみると、中は大量の画像ファイルで埋め尽くされていた。試し に一つ開いてみると、女が大股を開いて恍惚の表情を浮かべている画像が表示された。才人は思わず 周囲を見回す。ルイズもシエスタも出かけていて、今ここにはいない。 (危ねー危ねー、こんなん見られたらいろいろまずいからな。にしても、こいつは……) 他の画像も何枚か開いてみたが、どうやら全てエロ画像らしかった。そこで、地球にいたころの友 人の一人の顔を思い出す。 (そういや、やたらともったいぶって、『俺が苦労して集めた画像をくれてやるよ』とか何とか言っ てたっけ。一応もらったけど、暇なときに見ようと思って、結局中身は確認してなかったんだよな) 何とはなしに次々と画像ファイルを開いていく。自然と苦笑が浮かんできた。画像はどうやら 1000枚以上はあるようだ。よくもまあこれほど収拾したものである。 (しかも種類豊富だなあ。エロい写真もあるけど、アニメみたいな絵もあるし) もちろん全てエロ画像である。中にはかなりマニアックなシチュエーションのものもあって、興奮 するどころか逆に引いてしまいそうだ。 (特に絵の方は、自由に描ける分ヤベえやつが多いな。複乳やらふたなりやら触手やら……うわ、グ ロ絵まであるぞ) 友人の性癖が少し心配になってきたとき、才人は不意にある一枚の画像で指を止めた。 (この女キャラ、なんかルイズに似てるな) ピンク色の髪の少女が描かれた画像である。実写ではなくアニメ絵の方で「ルイズに似てる」など と思ってしまうのは、やはり地球ではありえなかった髪の色や、アイドル顔負けの美貌のせいだろうか。 (まあ、それ以上に) 才人は画像を見て苦笑いを浮かべる。そのキャラがルイズに似ている、と思ったのは、髪の色や小 柄な体型以上に、絵の中で行われている行為と、彼女が浮かべている表情が原因だろうか。 ピンク色の軽く波打つ長い髪を持つつり目の少女は、嗜虐的な笑みを浮かべて、画像の下から突き 出した陰茎を足でいじっているのである。 (いわゆる足コキってやつね。こういうので興奮する心情は、どうも俺には理解できねえんだけど) そのとき、背後から何かしゅうしゅうという音が聞こえてきた。嫌な予感を覚えて振り向くと、そ こに目を血走らせて荒い呼吸をする豚が一頭。 「マリコルヌ。てめえ、こんなところで何やってやがる」 「うん。実は、さっきまで遠見の魔法を使ってルイズの着替えを覗こうとしていたんだが」 「お前最近悪い方向に開き直ってるよな」 「だが、君が何か素晴らしいことをやっているのに気付いて、こうして直接出向いたんだよ」 荒い口調で説明する間も、マリコルヌは食い入るようにノートパソコンのモニター……正確に言え ばそこに映し出されている、ピンク色の髪の少女の足コキ画像を見つめ続けていた。 「おお、サイト、おお」 「気持ち悪ぃな。なんだ、そんなに息荒げて」 「ぼぼ、僕は今猛烈に感動している! こ、この発想はなかった! ああ、こんな可愛い女の子の細 い足で、僕の汚い部分をこねこねしてもらえるなんて! 実際にやってもらえたらどんなに素敵だろうか!」 「どんだけ変態だお前は」 若干引きつつ才人が言うと、マリコルヌは真面目くさった顔で唐突に立ち上がった。 347 名前: 足 [sage] 投稿日: 2007/09/23(日) 03 04 26 ID IZ5rpxWG 「サイト、僕はやるよ」 「何をだ」 「今日、必ずや未知の世界への扉を開いてみせる」 にっこり笑ったマリコルヌの顔は、どこか狂気じみたものを漂わせている。嫌な予感が際限なく膨れ上がる。 「お前、まさか」 「誰かぁぁぁぁぁっ! 僕の汚い部分を君の足でこねこねしておくれぇぇぇぇぇっ!」 大声で叫びながら、マリコルヌが小太りな体型に似合わぬ俊敏さで走り去る。 「ちょ、おまっ、それはいろんな意味でヤバすぎるだろうが!」 才人は慌てて豚の後を追う。本当に慌てきっていたので、ノートパソコンに例の画像が表示された ままになっていることには、気付かずじまいであった。 ルイズが部屋に帰ってくると、シエスタが床に座り込んでいた。何かをじっと見つめているらしく、 ぴくりとも動かない。不審に思って、彼女の肩を叩く。 「ねえ」 「うひゃあっ!?」 聞きなれない悲鳴を上げながら、シエスタが慌てて振り返り、何かを隠すように両腕を大きく広げた。 「みみ、見ちゃダメです、ミス・ヴァリエール!」 「そう言われると余計見たくなるわよ。ほら、どいたどいた」 シエスタを無理矢理どかすと、そこにかすかに見覚えのある物体が鎮座していた。 「サイトが持ってた変なマジックアイテムじゃない。これが、一体……」 言葉の途中で絶句する。そこには、少々奇妙なタッチではあるが、明らかに卑猥なことをしている 少女の絵が映し出されていたのである。 「な、何よこれ!?」 「ああ、見ちゃいましたか」 シエスタがため息を吐く。ルイズは彼女をにらみつけた。 「これ、あんたがやったの?」 「まさか。帰ってきたら、この状態だったんですよ。びっくりして固まってるところに、ミス・ヴァ リエールが来たんです」 「ってことは、これはあいつがやった訳ね」 自分の頬が引きつるのが分かった。 「一体、何のつもりでこんなことしたんだか。って言うか、これってあいつが自分で描いたの?」 「さあ、分かりませんけど。少なくともわたしはこんな、目の大きな人間を描いた絵なんて見たこと ありません」 「じゃあやっぱり、あいつが描いたんだわ。こんな絵、前にこの変なマジックアイテム見せてもらっ たときは影も形もなかったもの」 「サイトさんって絵もお上手だったんですね」 シエスタは感心しているようだった。ルイズはたまらず彼女を怒鳴りつける。 「そんな上等なもんじゃないわよ! よくもこのわたしに隠れて、こんないやらしい絵を……!」 348 名前: 足 [sage] 投稿日: 2007/09/23(日) 03 05 16 ID IZ5rpxWG 「っていうか」 怒り狂うルイズの横で、シエスタが冷静に呟いた。 「これ、ミス・ヴァリエールじゃないですか」 「え?」 「髪の色とか体型とか、ほら、このつり目とか、どう見てもミス・ヴァリエールをモデルにしている としか思えませんよ」 「そ、そう……?」 言われて初めて、ルイズはその絵に描かれた少女をじっくりと観察した。確かに、瞳が人間離れし た大きさではあるものの、体のパーツは自分と似通ったところが多いように思われる。 「で、でも、わたし、あいつにこんな変なことした経験なんてないわよ?」 「ということは、この絵は……」 「彼の内なる願望」 唐突に後ろから冷静な声が聞こえてきて、二人は悲鳴を上げる。いつの間に現れたのか、青い髪の 少女が、ルイズとシエスタの肩の間から、例の絵をじっと覗き込んでいた。 「タバサ。あんた、何でこんなとこに」 「気にしなくてもいい」 「いえ、そういう問題では」 「そんなことより、今考えるべきはこの絵のこと。多分、サイトはルイズにこういうことをしてもら いたがっているんだと思う」 「えー」 ルイズは顔をしかめた。 「じゃ、あの犬、いっつもわたしに、この部分をぐりぐり踏んで欲しいと思って興奮してるっての? なんか、すごく気色悪いんだけど」 「性癖は人それぞれ。本人も好きでそうなった場合ではないことも多い」 「そうですよミス・ヴァリエール。それに、隠れてこんな風にされたがっているサイトさんも、わたし……」 シエスタが両頬に手を添えて悩ましく身をよじる。相変わらずこの娘の病気は健在だな、と思いな がら、ルイズは複雑な気分で絵を見る。興奮した表情を浮かべて、顔の見えない男の陰茎を容赦なく 足で踏みつけている少女。 (なによ、こんなのどう考えたって異常じゃないの。あんた、こんなので喜ぶの?) スカートとソックスで隠された自分の細い足を見下ろしながら、ルイズは唇をむずむずと動かした。 結局、変態ブーストが全開になったマリコルヌを追い詰めて叩きのめすのにはかなり時間がかかっ た。もう日が暮れてかなり経っている。辺りは真っ暗で、夜空は月と星で優しく彩られている。 (ったく。テファに無理言って記憶消してもらったから、もう同じ問題は起こらんと思うが) それにしても、今日のマリコルヌはいつも以上にひどかった。下手をすれば道行く女の子を片端か ら捕まえて、「僕のチンコ踏んでぇぇぇぇぇっ!」と叫びだしかねない勢いだった。 (そんなことにならなくて、本当に良かった。よく頑張ったぞ、俺) とは言え、心身共にボロボロの状態である。夕飯を食べている暇もなかったが、体があまりにも疲 れているために、空腹ですら今は気にならない。疲労の極みにある頭ではまともな思考も出来ず、浮 かんでくるのはただただ「もう寝たい」という睡眠への渇望のみ。 (ああ、やっと戻ってきたよ) 才人はルイズの部屋のドアをそっと押し開く。中は真っ暗で、寝息が聞こえてくる辺り、ルイズと シエスタはもう寝ているようだった。 (あれ、ノートパソコンは……) 才人は暗がりの中に目を凝らす。ノートパソコンがどこにも見当たらない。 (豚野郎追いかける前に隠していったんだったかな。どうもよく覚えてねえや。ま、どうでもいいわな) 才人は欠伸をしながらベッドに潜り込む。疲労のしみこんだ体は、すぐさま深い眠りに引きずり込 まれていった。 才人が寝息を立て始めたのを確認して、ルイズはベッドの上でそっと上半身を起こした。彼の顔を 見つめながら、何となく自分の足をさする。 (まあ、こいつもいろいろ頑張ってるし。わたしは気が進まないけど、そのご褒美、ぐらいはあげて もいいんじゃないかしら) そんなことを思いつつ、ベッドの上で危なっかしく立ち上がる。そのとき、不意に背後で窓が開き、 掛け布団が勢いよく跳ね除けられた。 349 名前: 足 [sage] 投稿日: 2007/09/23(日) 03 06 18 ID IZ5rpxWG 「ダメですよ、ミス・ヴァリエール」 「抜け駆けはなし」 シエスタがルイズと同じくベッドの上に立ち、タバサが当然のような顔をして窓から入ってきて、 ベッドの上に降り立った。 「まあ、タバサに対する文句は後回しにするとして」 「やっぱり、考えることは皆同じみたいですね」 「とりあえず、脱がす」 ベッドの上でしゃがみ込んだタバサは、実に器用に才人のズボンを下着ごと半ばまでずり下ろした。 そのやたらと手馴れている手つきに、ルイズとシエスタは少々恐れおののく。 「タバサ、あんた」 「どうしてそんなに手際がいいんですか」 「人生経験の差」 タバサは端的に答えると、再びベッドの上で立ち上がった。三者三様、暗がりの中で下を見下ろす。 ズボンと下着をずり下ろされ、下半身が半ば露出しているというのに、才人は目を覚ます気配を見せ ない。よほど疲れているらしい。 才人とは主人と使い魔という関係であるルイズだが、さすがに彼の大切な部分まで見たことはな かった。というより、男の性器を見ること自体が初めてである。はしたない行為をしているという自 覚に、顔が瞬時に熱くなる。横を見ると、シエスタも才人の股間を凝視したまま、真っ赤な顔で硬直 している。 一方タバサは相変わらず涼しい顔であった。あまりにも冷静なので、こういう状況に慣れているの ではないかと邪推してしまう。 「タバサ。あんた、よくこういうことするの」 「ううん。これが初めて」 だというのにこの落ち着き様である。 (この子、やっぱり只者じゃないわ……!) 背筋を震わせながら、ルイズは再び才人の股間に目を落とす。ここまで来たら、もう後には引けな い。才人の望みを叶えてやるだけである。 「ええと、ど、どうするんだっけ」 「どうする、と言われても……と、とりあえず、あの絵の通りに」 「踏んでみればいい」 三人は顔を見合わせ、お互いに何度か頷きあった。深く呼吸をして、ベッドの上で片足を上げた。 「それじゃ」 「とりあえず」 「せーの、で」 『せーの!』 ぐぢゅぅ! 哀れな使い魔の長い長い絶叫が、夜の学院寮に響き渡った。 これが後に護身術として世に知れ渡ることになる、「ラ・ヴァリエール流金的粉砕術」の起源であ ると、歴史学者ノーヴォル・ヤマグッティ氏は主張している。 これは長年の調査の結果であると胸を張る同氏は、その苦難の歳月を顧みて、 「蒸れ蒸れニーソでねっとり足コキ、これ最強」 というコメントを残している。まことに業の深い話である。
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漫画に登場するキャラクターで二次裏設定を持つキャラクターのカテゴリーです。漫画キャラクターを元に派生したキャラクターについては派生ネタにまとめます。 アルファベット→五十音→記号の順にして下さい。 A-Z ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワヲンヴ 記号 【A-Z】 上に戻る 【ア行】 アックス あつし 阿部さん 阿部高和 上に戻る 【カ行】 金光聖母 クリスタルボーイ クリボー 剣心 孔明 上に戻る 【サ行】 諸葛亮孔明 セイバー 上に戻る 【タ行】 趙子龍 ドングリ 上に戻る 【ナ行】 中村名人 ニート侍 上に戻る 【ハ行】 バックベアード ハルパゴス 緋村剣心 ベアード様 ペルシャ人 上に戻る 【マ行】 メルッ太くん 森崎君 上に戻る 【ヤ行】 上に戻る 【ラ行】 ランスさん ルイズ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 上に戻る 【ワヲンヴ】 上に戻る 【記号】 上に戻る memo: 訂正、追加情報等。 名前 コメント 最終更新日:2016年05月24日 (火) 09時12分53秒
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脱!ゼロの二つ名…予定 爆発による煙は晴れ、視界が開けると、その中心で桃色のブロンドの少女ルイズは唖然と立ちつくしていた。 「人…間?…なの?」 ルイズは目の前に横たわる人間が召喚されたのだと気付いた。人間を召喚するなど前代未聞だが、頭にカラがある事に気付き、何かの亜人だろうかと想像する。…鳥人かな? しかし級友は優しくなかった 「オイオイ!今度は平民を召喚しちまいやがったぜm9(^д^)Pmプギャー」「流石ルイズ!俺達に出来ない事を平然とやt(ry」 「エ~?マジー?平民~? キャハハハハ」「キモーい!!平民召喚が許されるのはダメルイズだけよね~ アッハハハハ」 そんな随分と酷い中傷は、しかしルイズの耳に届かなかった。 その人間の寝顔があまりにも穏やかで起こす事を躊躇ってしまうからだ。こんな全てやり遂げた様な安らぎを未だ見た事は無い。 「ミスヴァリエール。時間が惜しい。早く契約をなさい。」 味わいある壮年コルベールが契約を促す。 正直平民と契約させるのは彼自身納得行かない。 ましてやうら若き乙女で、しかも落ちこぼれとは言えヴァリエール家の子女。もったいないと思うが、なにぶん他の生徒の前でそんなことを出せる訳もなく、努めて淡々と続きを促した。 自分の召喚したのが平民と思われている事に気付いたルイズは恥ずかしさに顔を朱に染め、契約を行う さて、お決まりの呪文と、せ、成約のキ…キキキスキス鱚帰スすすsususuあわわわ 頭の中がキスkiss鱚といっぱいになるが外には出さない様に感情を抑える。純情でも人前には示さない安いプライドがあるのだ 顔に手を触れる …!!冷たい!いや冷たいなんてもんじゃない!まるで死体だ 困惑した顔でコルベールを見る。 髭親父はすがる様な濡れた瞳にクラっときたが、我慢して続けさせた。 恐る恐る唇を合わせる。だが、その唇は暖かかった。順番に手を触れている顔も熱が通いだした。まるで唇から熱が巡りだしたかの様に 「…うぉおお!」突然男は目を醒ました。「ひゃ!」驚きルイズは尻餅を着いた。 髭親父がこっちを見ていた。 ……何を見られているか気付いて顔を真っ赤にした…スケベ親父めぇ~ スカートをキチッと直し気丈に構え「契約完了しました。ミスタコルベール」言外に非難を込めて言った。 コルベールが近付き左手に浮かんだルーンを確認する。ルイズは反対側に回ってエロ髭から距離を取る 「ふむぅ…契約は問題なく出来たね。」 微笑む髭を冷たい目で流し、自分の使い魔に向う。ルーンの痛みが引いたところでさっそくコミュニケーションを取る 「あんた誰?」名前は大事だ。あんただのお前だのそういう呼び方は嫌いだ。 使い魔は周囲の状況に戸惑いつつも落ち着いて答えた 「俺…か?俺はレオーネ・アバッキオだ。」 「レ・オーネ=アバ・キヨ?ちょっと貴族みたいな名前ね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! ルイズ様か、愛を込めて ル イ ズ て呼んでもよろしくてよ?」 キマッタ!これで主導権を握ったわ!更に呼び捨てすら許す心の広さも示して見せたわ! 「…アバッキオだ。区切って読むな。」「う!うう五月蝿いわね!ちょっとした間違い位流しなさいよ!」 あれ? 「…さてそれでは帰りますかね皆さん」 コルベールが皆を先導する。 瞬く間に空に浮かび上がり去って行った。鮮やかで 悔しい 「あれは何だ?」アバッキオ…何を言ってるの?基礎的な魔法じゃないの…ひょっとして魔法見た事無い? 「ここはトリスティン魔法学院よ。魔法何てまるで珍しくないわ。」メイジの誇り高さに胸を張ってみる…色々と虚しい 「…とするとその魔法とやらで俺を助けてくれたのかあんたは?」 「あ、あんたですってぇえぇ~~!?言葉遣いが違うんじゃなくってぇえ~?」前言撤回。こいつは平民だ。ならちゃんと躾をかまさなくてはならない。噛みつくようなら罰だって与えなくてはねぇえぇ~! だが予想外の反応が返ってきた 「…ありがとよ。」「へ?」唖然とした。何でお礼言われたのかしら?やはり…何者? 「と…とりあえず学院に帰るわよ。着いて来なさい。」細かい事は部屋で聞こう と歩き出すと ドサリ とアバッキオは倒れた。 「え?ちちょっと!」何なのぉ~こいつぅ~いきなしブッ倒れるとか穏やかじゃないわ! 憤りをよそに、アバッキオはピクリともせず、ルイズは焦りだした。 「まさか凄い衰弱してるの?何なのぉ~こいつはぁ?」 これからの事を考えるとルイズも一緒に倒れてしまいたい気分になってしまったのだった to be contenued